人間至る所に青山有り [ママ文庫]
男兒立志出郷關
學若無成不復還
埋骨何期墳墓地
人間到処有青山
突然ですが、漢詩の一節を。幕末の僧、釈月性という人の作と伝えられる漢詩の最後の部分です。
人間至る所に青山有り(じんかんいたるところにせいざんあり)
諺にもなっていますが、高校の時国語の教科書に載っていました。いつもぼんやり授業を聞いていた、不真面目な生徒だった私ですが、この言葉はとても印象に残り、目が覚める思いでした。
しかし当時の国語の先生は、この一節について簡単な訳だけを言って、さらりと通り過ぎました。
「世の中には、どこに行っても故郷の青山のような山(墳墓)はあるものだなぁ。死に場所はどこにでもある。転じて、人間はどこに行っても生きられる。」
死に場所はどこにでもある。どこでも生きられる・・・?
学生時代は、狭い世界にしか目を向けず、自分では何もできないくせに親に不満ばかりを抱き、夢もなく、なんとなくグズグズ毎日過ごしていました。もっと早く、この言葉に出会いたかったなぁ、なんて思いました。
諺では「故郷を出て大いに活躍すべきである」という意味も加えられています。
この諺は好きですが、いつか娘たちが成長して、家を離れて遠くに勉強しに行きたい!と言い出したら、心配性の私は、どっしり構えて送り出せるかなぁ?
昨年の大震災や原発事故では、大変な被害を被って故郷を追われた方がたくさんいらしたと思います。
被災者の方々が、失われたその地の歴史や、文化や、コミュニティを取り戻したい、再建したい、と願う心情を考えると、「人間至る所に青山有り」では割り切れない、やるせなさや悔しさが余りあることでしょう。この国はもっと安全な国だと思っていましたよね・・・。
でも、どうしようもない喪失感に囚われて、暗く沈んだまま一歩も前に踏み出せずにいる方がいらしたら、この諺を思い出して、少しでも元気を出して欲しいです。
いざとなれば、どこへ行っても、今この時代を懸命に生きるだけです。
皆様、nice!たくさんありがとうございます!
時々この漢詩を思い出すので、書いてみました。
by 這い上がるママ (2012-03-23 18:15)
私は故郷を捨てても平気なタイプですが
どうしてもどうしても故郷を捨てられない人がいますよね…
避難を余儀なくされた人が
故郷に固執することなく新天地で人生を切り開くことができると
いいのにな…といつも思います。
こういう形で故郷を去るというのはつらいことだと思いますが…
by su-nya (2012-03-27 05:53)
>su-nyaさん、コメントありがとうございます!
放射能汚染で失われた地も、いつかは再生してほしいですね。みんなで知恵を絞って・・・。
by 這い上がるママ (2012-03-27 16:06)